北溟に鯤を探す

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北冥(ほくめい)に鯤(こん)を探す    −荘子が語る逍遥遊(しょうようゆう)の世界−

北冥(ほくめい)に魚あり、其の名を鯤(こん)と為す。鯤の大きさ其の幾千里なるかを知らず。化して鳥と為るや、其の名を鵬(ほう)と為す。鵬の背(そびら)、其の幾千里なるかを知らず。怒して飛べば其の翼は垂天の雲の如し。是の鳥や、海の運(うご)くとき則ち将に南冥(なんめい)に徙(うつ)らんとす。南冥とは天池(てんち)なり。
NHK出版 玄侑 宗久 荘子より

荘子は中国の戦国時代に書かれた思想書であるが、その自然界に対する向き合い方は西行をはじめ鴨長明、松尾芭蕉に大きな影響を与えた。

具体的には各種の解説書に書かれているが、「天」を自然界、それは人間をも内包していくものであり、人間の存在は天、自然の中で不可抗力的に決定されていくものと説いている。その荘子の冒頭に書かれた逸話が「逍遙遊(しょうようゆう)」であり天、自然を絶対的なものと捉えることから人間としての自由が生まれ「遊」、すなわち遊びを通じての心の自由、率直な生き方に結びつけている。

この自然への向き合い方は私の作品制作の理念への大きなヒントとなっていることは言うまでもない。 逍遙遊は「北冥に魚あり、其の名を鯤(こん)と為す」と最北の海に棲む大魚の話から始まる。日本の最北、北海道の海と向き合いながら自然と率直に向き合う遊び心を持って、南冥に鳥となって飛び去る鯤の存在を感じシャッターを押した。

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